子育て

【パパママへお願い】抗生物質を欲しがらないで|耐性菌を作らないために

突然ですが、お願いです。

たつな
たつな
抗生剤を欲しがらないでください

いきなりすみません…。
突然なんのこっちゃ、だと思いますので説明を。

今週(11月12日~11月18日)は世界抗菌薬啓発週間です。

抗菌薬をちゃんと使おうぜ!

という週間なので、薬剤師目線で何かできないかなと考えてみました。

そこで思い付いたのが、ママ・パパ達へ「抗生剤を欲しがらないで」とお願いです。

ママA
ママA
医療系の記事って難しい!
よくわかんないから、いっつもスルーしちゃう

って方向けに、さらっと読めるよう書いています。
流し読みでもなんとなくわかるはず…!
よかったらお付き合いくださいませ。

■この記事を書いた人■

たつな
たつな
たつなといいます。
育休中ですが、薬局薬剤師をしています。
6ヶ月の娘を育てる母です。

抗生剤って?

抗生剤は、細菌をやっつける薬です。

細菌は人の体にもたくさんいますので、むやみに怖がる必要はないのですが…。
ご存じのように、時たま悪さをして、体調を崩してしまうことがあります。

そんな時に役立つのが抗生剤

抗生剤は、人と感染症との長く壮絶な戦いで手に入れた、すんばらしい武器なのです。

ですが、抗生剤とのお付きあいが長くなり、

・使われすぎての耐性菌
・抗生剤の副作用

が注目されるようになってきました。

なので、

たつな
たつな
抗生剤は適切に使おう!
そのために、欲しがらないで

をお願いしたいんです。

抗生剤、使いすぎてました。

正直に言います。

今まで、ちゃんと抗生剤を使っていませんでした。

なぜそうなったかとかは、とても語りきれないのでここでは省きます。

やたらとりあえず!で使われるようになり、耐性菌(薬が効かない細菌)を生み出してしまっている現状が…。

抗生剤はすばらしい武器なんですが、それが効かなくなってきてるんです。

■例えてみた■

スライム(細菌)を倒せる武器が手に入った!戦えるぜ!!
→スライム倒したぜ!!
→スライム倒したぜ!!
→繰り返し

スライムもただ指をくわえて見ているわけではありません。
武器を克服しようと少しずつ強くなり…。

→スライム倒…あれ、武器が効かない?

ざっくり言うと、こんな感じのことが起きています。

克服したはずの細菌から反撃にあっている!!が今です

そして、耐性菌たちが何をするかというと。

■耐性菌が起こすこと■


・使える薬が少なくなる→治癒に時間がかかる
・予防や治療が難しくなる→治せない病気が起きるかも
:世界で70万人死亡
未来:世界で1000万人死亡
(何も対策を取らなかった場合の2050年予想)

…なんか放っておいたら、やばそうじゃないですか?
70万人→1000万人の増え方って、数学苦手な私でもまずそうな気がします。

なので、耐性菌を作らないことがとっても大切です。
耐性菌を作らないように、ちゃんと抗生剤を使う!が死ぬほどポイントです。

ちっとも他人事でない耐性菌問題。
私たち一人一人が、

たつな
たつな
抗生剤をちゃんと使う!
むやみに欲しがらない!

をやっていくことが大切です。

抗生剤の副作用

けっこうてきとう漫然と使われてきた抗生剤。

その副作用はあまり注目されていませんでした。

(本当は、こんな副作用があるから使わない方がいいよ~って言い方は好きじゃないんですが…)

ここで言いたいのは、抗生剤をむやみに使っているとこういうことも起きるよ、ということです。

抗生剤の副作用は、

・発疹などのアレルギー症状
・下痢や軟便

が代表例。

抗生剤で便が緩くなる、は経験したことある人もいるかもしれません。
アレルギー症状は、まれですがアナフィラキシーを起こすこともあるし…。

なので、必要がない時にあえて使うのもどうなのかな、というなげかけです。

使うべき時だけ、効果>副作用となるときだけ使うのが、賢いやり方かなと思います。

(怖いからって自己判断で中止はしないでね。
 疑問があったら、医師や薬剤師にきいてみてください)

抗生剤のちゃんとした使い方

抗生剤が必要な時は、

一部の細菌感染の時

です。

抗生剤が必要な状態か?の見きわめは結構難しいです。
(細菌感染=抗生剤でもないので…)

そこは専門職にお任せするとして、ひとつ伝えたいことがあります。

抗生剤が必要な時って意外と少ない!!

ということです。

■抗生剤の考え方■

・風邪では使わない
・中耳炎、副鼻腔炎も必須でない
・一部の細菌感染の時だけ!使う

参考:抗微生物薬適正使用の手引き 第一版
※基礎疾患のない成人及び学童期以上の小児が対象。
乳幼児は対象外ですが、基本的な考え方として参考にしました。

(抗生剤の適切な使い方、は別の記事でちゃんとまとめる予定です)

医療を受ける側が、抗生剤が必要な時って意外と少ないんだと知っておくことも大切かなと思います。

(出された抗生剤はしっかり飲み切ることも大切です)

■+αのポイント■


・抗菌薬は医師の指示通り飲みきる
・抗菌薬をとっておいてあとで飲まない
・抗菌薬をあげない、もらわない


参照:AMR臨床リファレンスセンター
子どもの風邪対策から薬剤耐性を予防しよう

お願い。抗生剤を欲しがらないで

処方する医師も、もちろんこれらのことをわかっています。

ですが、こんな現状が…。

■悩ましい現状■

困る医師
困る医師
・お願いされて仕方なく
(心の声)説得には時間がかかるな…今20人待ちか…仕方ない…出すか…

・抗生剤出さなかったら、後でクレームに…

などなど、患者側の希望で処方されている場合もあります。

いい医師は

医師
医師
・抗生剤は本当に必要なときだけ出す
・必要かどうかの見極めをきちんとしている
・薬をやたらめったら出さない

をしっかり行っています。

たまに聞く、

ママB
ママB
・薬をくれなかったから、あの先生いまいち
・抗生剤飲むと早く治るのに、出してくれなかった!

なんてのは、ちょっと違うんです。

たつな
たつな
耐性菌を増やさないために。
抗生剤を欲しがらない。

を一人一人にお願いできたらと思います。
一人の力は小さいかもしれませんが、一人ずつ変わっていくことがすごく大切なんです。

抗生剤を欲しがらない。
なにとぞ、どうか、よろしくお願いします。

免責事項

乳幼児や基礎疾患をお持ちの方は、別の配慮が必要な場合があります。
あくまで一般的な考え方とご留意ください。
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間違いがありましたら、ご指摘頂けると助かります。
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