ずっと感想を書きたかった「ふよぬけ」「夫の扶養からぬけだしたい」という、ある専業主婦の漫画です。
「扶養とか関係ないんだけど」って思った方にも読んでほしい。
全育児中の父母に読んでほしい。
そんな推しの気持ちをこめて書きました。
一児の母で、薬局薬剤師をしています
(詳しいプロフィールはこちら)
どんなマンガ?
ママの求人で連載されていたwebマンガです。
掲載直後から話題となり、KADOKAWAから書籍発売となりました。
■主人公:ももこ
専業主婦。マンガ家を目指していたが、結婚出産でやむなく諦める。
転勤族の夫のため、パートで働くのもままならない。
■夫:つとむ
激務。仕事に追い詰められ、ももこへ無神経発言を繰り返す。
夢を追いかけるももこに惹かれ、結婚した。
■子供:たると
おっとりとした男の子。2歳くらい。かわいい。
■作者:ゆむいさん
イラストレーター。「ママの求人」や「レタスクラブニュース」などにマンガを掲載。
公式ブログ:ゆむいhPa
最初は他人事だった
最初読もうとした時は、他人事だったんです。
ちょっとやな感じなこと言いますが、夫の扶養に入るのを考えたことがなくて。
今は正社員だし、これからパートになったとしても薬剤師だからそこそこ稼げるはずと思っていました。
なので、最初は違う世界を見てみようという好奇心。
だったんですが。
マンガを読んで、すぐに引き込まれました。
ももこの気持ちがわかりすぎる。
私は専業主婦でないし、転勤妻でもないので、ももことは違うことの方が多いです。
共通点は、
・子育て中
・家事、育児を私メインでやってる
くらい。
ですが!
・家事と育児で思うように動けない
・子供がいる私に何が出来るんだろう?
・子供がいるから思いっきり動けない
という、閉塞感、もやもや感は今まさに感じていること。
ももこの思いは、多分、子育てしている母みんなが感じることだと思うんです。
なので、私みたいに「扶養?自分には関係ないや」って人にもぐさぐさ刺さります。
夫つとむがひどい
そんでもって、夫つとむがひどいんですこれがまた。
本当にひどい。
他人の私が「離婚しようよ!」とアドバイスしたくなるくらいひどい。
どこかできいたことのある、
・専業主婦批判
・妻見下し
・稼いでいる俺の方が偉い
・一日家にいるのになんで散らかってるの?
等々の無神経発言。
見ているこっちがつらくなるくらい。
典型的な昔の思考、「俺は仕事。家事と育児はお前が完璧にやるべき」に凝り固まったつとむは、それはそれはももこを深く傷つけます。
「うちの夫はここまでではない…」
と思いつつ、
・育児、家事は私がやるものという空気
・お願いしてもしぶしぶやるor嫌がる
・家事外注に理解がない
あたりは通じるところがあります。
(この間喧嘩して少し改善しましたが…)
「男は仕事。女は家事育児」の根深さ。
つとむの事情
そんな血も涙もないように見えるつとむ。
書籍化にあたり、つとむの事がより詳しく描かれました。
(webマンガの時はさらっとでした)
一応、つとむにも言い分というか事情があって。
・仕事を押し付ける上司
・扱いづらいお局様
・やってもやっても終わらない仕事
・妻子を養わなきゃ
・自分が仕事をしなかったら家族が行き倒れるプレッシャー
これもよく耳にする、会社員の叫びですよね。
彼も追い詰められていたんです。
自分勝手ではありますが、「自分が全部背負っている」と思い込んでいたんですね。
つとむに共感できる方も多いんじゃないかと思います。
というか、つとむの胸のうちを知ってからは、あまり大声で批判できなくなりました。
私も追い詰められたらそんな風に思ってしまうかもしれない。
「自分だけが頑張っている」
頑張っている時ほど、そう思い込んでしまいますよね。
つとむの気持ちも少しはわかるところがあり、ただの悪者ではなくなりました。
つとむは過重労働の被害者だと思います。
ある意味、今の社会問題を象徴した存在です。
まぁ、どんなにいっぱいいっぱいだったとしても、妻を見下して傷つける権利はないんですが…。
そこはつとむの良くない部分です。
他人事じゃなかった
ということで、読んでみたらちっとも他人事のマンガじゃありませんでした。
めちゃくちゃ自分事。
わかる…!!の嵐。
・育児家事で思うように動けない
・母になったら、いろんなことを諦めなきゃいけない
・幼子を抱えた私に何ができるんだろう
・これから私はどうなるんだろう?
・仕事してるのがそんなに偉いの?
・稼ぐのがそんなに偉いの?
・家事育児を見下すな!
etc…
育休中に読んでいた私には、めちゃくちゃ刺さるものがありました。
ももこの決断
そんな閉塞感マックス、夫が敵な状況の中、ももこは悩んで決断をします。
そのためにはやはり、自立していないと、自分で稼げないといけない。
子供と転勤族の夫がいて、思うように動けないももこの決意表明が「夫の扶養からぬけだしたい!」でした。
周りの力を借りながら、なんとか扶養を抜ける201万円を達成します。
かっこいい。
私さっき「薬剤師だから扶養とか関係ない」などと偉そうなことを言いましたが、会社におんぶ抱っこなので、自分がすごいんじゃない。
環境に恵まれているだけ。
本当の意味で自立しているか?してないよね?と考えてしまいました。
自分にできることは?
かつ、世の中から求められることは?
ここを見極めて実行したももこは立派な個人事業主。
会社におんぶ抱っこの私と違う。
そんなももこが、眩しくて仕方ありませんでした。
まとめ
ということで、育児中の親すべてに読んでもらいたい。
ももこの感じる閉塞感、もやもや感、そして無理解な夫へのいら立ちと諦め。
一方で、仕事に追い詰められ、妻を見下し、無神経な発言を繰り返すつとむ。
今の家庭の、代表的な例なんじゃないでしょうか。
「夫の扶養からぬけだしたい」がタイトルですが、”扶養”が本当の問題なのではなく、ももこ・つとむ自身が今の社会への問題提起だと感じました。
なので、扶養とか関係なしに、どの立場の人にも刺さる内容なんだと思います。
ももこは1つずつ、少しずつ閉塞感を乗り越えて、イラストレーターとして身を立てました。
そんなももこへ尊敬の念を込めて。
ぜひ!みんなでふよぬけを読もう。